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2022.05.31 

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【たたみの話】玉座(ぎょくざ)の完成

慶応2年(1866年今から154年前)に新調されたであろう繧繝錦玉座の畳2枚を表替えさせて頂きました。この畳は奈良市の唐招提寺御影堂の上段の間に日常おかれているものです。これまでにも何回か修復された様ですが、今回ご縁頂きまして、私の手で令和の修復を終え納めてきました。


 

流石畳床は相当痛んでいて、寸法の狂いも大きく、また床の凹みなども多く見られ形を作るのにも相当な時間を費やしました。畳2枚とも四方の角の柱は全て新調のものと交換して直角を作り、その間の柱も10枚以上交換しました。凹みの大きい部分には最大5枚のござを積み重ねて水平を保ち、新しい頭板を被せて糸締めしています。框の部分の頭板も数枚交換しました。




 



 

この繧繝錦は本絹の上等のもので、部屋の照明を少し落とすと美しい艶が伺えます。


また、日を後にしてこの玉座の上に敷かれる茵を造りました。


茵は、畳ござを5枚重ねて綴じ合わせ、白い紙で包んで土台を造ります。その中央に本来なら絹の真綿を積み上げますが、真綿はあまりにも高額な為に木綿綿を4枚重ねて入れています。


綿の上に小葵(こあおい)の地模様が織られた白地の大和錦(やまとにしき)を張ります。その時に模様が中心にくるように糸を張って調整します。後日、綿が沈んで、錦にシワが寄らないように、時間を掛けて何度も張っています。


その後、糸で縫い止めますが縫い糸は内側から外側に向けて糸掛けしています。少しでも緩まないようにする為の私の工夫です。この白地の錦は、中央で幅を継いでいます。材料が足らなかった訳ではなく、昔の錦は布の幅が狭かった為に幅継ぎをしました。今の時代にはこのサイズに間に合う幅はありますが、古来の造り方にならうために一旦幅を裁断し2枚になった錦を再び模様を合わせて絹糸で細かく縫っています。これが有職の造り方なのです。



白地の錦の周りに赤地の錦を縫い付けます。四方縫い終わったところで裏面に蘇芳(すおう)色の絹を張りますがその前に同系色の紙を色が透けないように張っておきます。蘇芳色の絹に周囲を縫い止めていよいよ、額縁に綿を入れます。中央の白地の下には綿を4段重ね、額縁には3段の綿を被せています。この時に厚みのムラにないように細心の注意が要ります。



下付きに綿を入れてから、上付きの錦を45度に折り畳んで、模様を合わせます。まち針で仮止めして、先の曲がった針でくけ縫いします。縫った糸が見えないように加減をして仕上げます。実はこの三角の部分よりも、隅の角に一番気を使います。



この時にも綿がある程度落ち着くまで、時間をおいて作業を進めます。


裏面も出来るだけ隅の部分を美しくまとめて、ここも同系色の色でくけ縫いします。この裏地の蘇芳の絹も中央で幅継ぎしているの見えますかね?


最後に軽くアイロンで押さえて完成です。



二枚の玉座の上に茵を敷くと、室内全体が引き締まった様になった気がします。




 

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