創業300年 伝統と信頼の老舗畳店

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2020.10.07 

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【たたみの話】 千年以上の伝統を守る「有職畳(ゆうそくだたみ)」

奈良時代に厚みのある畳が造られ、平安時代になると公家社会の中で更に畳の進化が始まります。この時代から天皇だけでなく多くの公家や武士が畳を使うようになります。


そこで、平安中期には過去の先例に関する知識を基に、当時の朝廷・公家・武家などが行う儀式や行事・制度、習慣の衣食住の決まりを学ぶ「有職故実(ゆうそくこじつ)」という学問が生まれます。そして学問だけでなく、伝統的な文化を継承するために千年以上経過する現代社会に於いても、神仏を敬い格式を重んじる神社や寺院の社会の中でしっかりと守られ続けてきました 。


 下の写真は、神様や天皇がお座りになる、「茵(しとね)」の製作過程です。茵は、現在の座布団の原型ともなるものです。周囲の赤地の錦は「蟹牡丹(かにぼたん)と呼ばれる有名な有職紋様です。


 

畳についても奈良時代から平安時代にかけて、畳造りをされてきた当時の職人の知恵と、この有職故実の考え方の基本を尊重して、工夫を重ねたものと思われます。


畳の造り方は 装束における錦を側面あるいは周囲に取り付けるときに、同じく「縫い針」を持つ、それも日本の伝統である着物の縫製技術から多くのヒントを得ることが出来ます。錦の裁ち方、模様の重ね方、保護材の使い方、縫い糸の締め具合など、装束の考え方を学習して初めて気づくこともあります。錦の使い方だけでなく、伝統的な工法も当時の職人が何を感じ取っていたかを考えると、途方もなくその時代を彷徨う気持ちにさえなります。


下の写真は、天皇がお座りになる「玉座(ぎょくざ)」です。 高麗大紋の厚畳の上に、繧繝錦(うんげんにしき)の茵が置かれています。



奈良時代から約千三百年、建築に於いても時代の流れと共に工法が変わり、新たな技術が生まれたことでしょう。その間、畳も寝殿造りの置き畳の時代から、平民が住み着く町屋などに敷かれる簡素な畳まで、様々な立場や場面で畳の構造が多様化しています。


その中でも「合理化」という名目で行われた省略工法は、後々の常識となることがあります。しかし、有職故実に基づく畳は昔からの伝統工法でなければなりません。これらの畳を「有職畳(ゆうそくだたみ)」と呼びます。この有職畳を日本の伝統文化の誇りとして深く研究し、必ず後世に残していきたいと考えます。そして私たち製造にあたる畳職人にも伝統的な格式を尊重しながら、千年以上続く日本の畳文化の根源である日本人の美しい心を学びたいと考えます。



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